アメ車のパワーステアリング

2023年9月5日更新

パワーステアリングと言うのは素晴らしい機能ですよね。

皆さんエンジンがランしていない状態でステアリングを回した事ありますか。

 

それはそれは重たいのなんのってちょこっと回すだけではぁはぁ息切れするくらい重いのです。

 

エンジンがランしてポンプが作動し油圧がギヤーボックスに流れ込むとあれ不思議

あの重たさは何だったのでしょうか、人差し指一本でクルクルと右へ左へ自由自在に回るじゃありませんか、ほんとパワーステアリングってすごいですよね。

 

パワーステアリングシステム(ギヤーボックスタイプ)でよくある故障の症状をいくつか挙げますと下記のようなのがあります。

 

1:ステアリングを回すと異音がする。

2:エンジンがランしている間は異音がする。

3:右と左に回した時のステアリングの重たさが違う。

4:エンジンがランしているのにステアリングが重たい(異音はせず)

5:4の症状の時、異音がする。

6:ステアリングの遊びが大きい。

7ステアリングウィルの左右の回転数が違う。

8ステアリングなんか重たいように感じる。

 

よくある症状をいくつか挙げてみましたが、サービスマニュアルには、ダイアグノーシスチャートと言うページがあり、症状に対して複数の点検箇所アドバイスが記載されているのです。

 

症状が1だとしたら、パワーステアリングフリュードは規定量か、規定量なら次の項目に行く→

パワーステアリングホースから漏れはないか→漏れなしならこちら、漏れがあるならホースを交換。

とまぁこんな感じで書かれています。

 

ポンプから異音が出る時は、フリュードの量を点検しましょう。

フリュードを補充する量は、ポンプキャップに付いている棒の先を見れば分かります。

エンジンラン状態でフリュードが熱い時はここまで、冷たい時はここまでと書いてあります、フリュードは熱くなると膨張するので規定量以上に補充してしまうと溢れるので適切な量だけ補充するようにしてください。

 

ホースから漏れていたら自分で交換するオーナーも居ると思うので交換時の注意

ホースを交換したらエアー抜きをしますよね、ギヤーボックスタイプならポンプリザボ

の注ぎ口までくるようにフリュードを注ぎます。

エンジンランさせると異音が出ますが焦らずフリュードをつぎ足してあげます。

注ぐ量はリザボの中を覗き込みながら溢れない程度まで注ぎます。

 

異音が出なくなったら、ステアリングをゆっくりと左右いっぱいまで数回まわします。

エアー抜きを行っている間にはフリュードも熱くなるでしょうから、キャップに付いている棒でフリュードの量を調整すればOKです。

 

ラック&ピニオンタイプは、エンジンをランせずにステアリングをゆっくりと左右いっぱいまで数回まわしてからエンジンをランさせフリュードの量を調整します。

 

パワーステアリングフリュードはメーカーによりATFデキシロンⅢもあれば専用フリュードを推薦しているメーカーもあるのでオーナーズマニュアルに従ってください。

 

症状、6.8はギヤーボックスのトラブルです。

6:ステアリングの遊びが大きい。

ピットマンアームギヤーとラックギヤー間の遊びが大きい

 

8ステアリングなんか重たいように感じる。

6で書いた部品の遊びが少ない

 

7ステアリングウィルの左右の回転数が違う。

平均的なステアリングウィルの左右の回転数は、右に1-1/2回転、左も1-1/2回転です

ギヤーボックスに何かの故障があっても、左右の回転数を違えるような構造にはなっていないので、ギヤーボックスピットマンアームギヤーシャフトから外になります。

外と言うのは、ピットマンアームやステアリングリンケージの事です。

ピットマンアームの取り付け角度を間違えても180度ですからピットマンアームと言う事はあり得ませんから、ステアリングリンケージの調整不良と言う事になります。

ステアリングをいっぱいに回して止まるのは、ギヤーボックス内ではなく、コントロールアームロアーとキャリパーマウントブラケットがぶつかるからです。

 

ギヤボックス内部で止める事をするとギヤボックスは壊れてしまいます。

トーインと言うのを聞いた事がありますよね、車両を真上から見て、左右のフロントタイヤの前側と後ろ側の幅の事です。トーインを調整するのは、タイロッドエンドのインナーとアウターです。このタイロッドインナーとアウターは1本の棒のような構造で全長を調整する事ができる部品で、長くしたり短くしたりしてトーイン調整を行っています。

 

車検から納車されたらステアリングのセンターが変わっていたなんて事ありませんか。

それは車検を通す時にトーイン調整を行ったからです。

 

タイロッドエンドを左右均等に調整しトーイン調整をすれば問題ないのですが、調整するのは左右どちらかしか調整しないのでセンターがずれてしまうのです。

 

わかりやすくすると、タイロッドエンドはスピンドルを真ん中にして前側にあります

左右のタイロッドエンドは左右共に10cmだとしましょう。

左右10cmでステアリングのセンターは出て車も真っすぐ走れています。

 

ステアリングは真っすぐのままでタロッドエンドを右側8cm左側12cmに調整すると左右のタイヤは少しだけ右に向きます。

この状態で走行をするとステアリングは左に向く事になります。

車検時にトーインで落とされた合格するように取り合えず調整して合格させようとするので左右どちらからのタイロッドエンドの長さを調整して規定内の数値にするだけなのです。

 

この取り急ぎの調整こそが12cmと8cmなのです。

 

アメリカ車は日本の車のようにステアリングをシャフトから外して付け替える事ができない構造なのでステアリングのセンター出しをする時はタイロッドエンドを調整してセンターを出します。

 

日本の車だってハンドルを付け替えてセンターを出す事に悪影響はあります。

ウインカーの戻りが左右で違ってきてしまうのです。

 

ステアリングウィルの回転数は上記のような事が原因になっている事があります。

 

ポンプやギヤーボックスからフリュードが漏れている時は、オーバーホールとかシール交換をして直すのですが、ポンプもギヤーボックスもシール交換だけだとその場しのぎの修理となってしまう場合もあります。

 

その場しのぎにならないためにもシール交換だけではなくオーバーホールまたはリビルドをした方が良いのです。

 

次回はポンプとギヤーボックスについて更新します。