オートマッチクトランスミッションのオーバーホール

2023年9月4日更新

オートマのオーバーホールは症状により難しさが違います。

 

直すには症状を確認しない事には手は出せません。

はいはい、滑りですねオーバーホールですね、なんてのはいけません。

どうして滑っているのか、何が滑りを起こさせているのかまずは分解せずに点検測定を行うのが順序です。

 

その点検が確実な結果でなくても良いんです、サービスマニュアルを参考に点検をすれば

これから分解するミッションの構造が自然と頭に入ってくるのです。

 

順序良く分解して消耗部品を交換しながら組めば直るって故障ではないです。

分解しながら、部品測定を行いながら原因追及をしていくのですから内部構造と

部品の役割を知っておこないと直せませんよね。

各クラッチパックはフレックスプレートとスチールプレートを数枚重ねた物ですが重ねた最後には決められた数ミリのギャップが必要です、ギャップが少ないとフレックスプレートは常に擦れる事になるので焼けてしまいます、ギャップが多いと重ねられたプレートの圧着が遅れシフトフィーリングが悪くなるばりか他のクラッチパックにも影響を及ぼしてしまいます。

 

フレックスプレートとスチールプレートを圧着させるのはピストンですがピストンの周りにはシールリングが付いていて油圧を保持し受けるようになっています。

 

シールリングをクラッチドラムと呼ばれる筒状の中に入れるのですが、入れる時にシールリングの薄くなった端の部分が邪魔になりスムーズ入れる事はできません、そのためにシールリングを破損させずに入れるための専用工具もあります。

 

近年ではシールリングの材質はラバーではなく半分プラスチックのような丈夫な材質が用いられています、なのでシールリングを交換せず組んでしまうところもあるようです。

 

ミッションの構造はすごく複雑で部品点数も多いですが、摩耗する部品の数は少ないのです。

 

フレックスプレートとスチールプレート以外で、必ず交換する部品は、シールリング類とブッシング、スラストシムです。特にブッシングはシャフトの回転を支えている部品なので

全て交換するのが最善のオーバーホールです、摩耗したままのブッシング組んだ場合は、油圧のリークや異音の発生に繋がる場合もあり最悪は内部のギヤーなどを破損させる恐れがあります。

 

コントロールバルブボディーはよく迷路のような部品でしょと言われますが、何で迷路と言われるかは、ATFが通る溝が迷路のように見えるからですね。

迷路のような溝にATFが流れバルブボディー内部に流れ込み、ポンプで作り出された油圧によりピストンやバルブを動かしクラッチパック内のピストンを作動させてシフトチェンジをしています。

 

シフトをリバースに入れたら、コントロールバルボディーのマニュアルバルブが動きバンドを動かしプラネタリーギヤーを作動させリバースクラッチが作動し車両をバックさせます。

 

ODにシフトすれば、ロー&リバースクラッチパックが作動し車両を1速から発信させるのです。

 

コンピューター制御のミッションなら、センサーが油圧を測定しアクセル開度と車両の速度を基にコンピューターから指示を受けたソレノイドを動かしATFの流れを変えコントロールバルブボディーを動かし2速へとシフトアップさせるのです。

 

メカニカルナミッションであれば、油圧センサーの代わりにガバナバルブとデテントケーブル(キックダンワイヤー)が働きATFの流れを変えています

 

メカニカルミッションならデンテントケーブルの調整ができていないと強いシフトショックやシフトフィーリングが悪くなります。

 

トルクコンバータも同時にリビルドを行う部品です。

こんな部品悪くならないでしょ?って思っている人もいると思いますが、開けてみたら内部の悪さに驚きますよ。

 

もう一つ大切な事があります、それはATFクーラーです。

クーラーを無視するとせっかく上手くできたリビルドも全て無駄になる事があるのです。

 

調子よく走っていてそろそろ何十万キロだからな大事にならないうちにリビルドをするかってオーナーは少ないと思います。

 

そこでせめてATF交換だけでもと思いますよね。

 

ATF交換に関しての記事は次回にでも。