アメ車のエンジンリビルドとオーバーホール、

2023年8月29日更新

エンジンを修理すると言っても、色々な修理がありますよね。エンジンを動かすためのセンサーやモジュールと言った部品の不具合から、冷却系統からのクーラント漏れなど。こういった故障はエンジンの外側に着けられた部品なので点検、交換などは比較的簡単に行える修理ですが、エンジンを再生するとなるとそう簡単にできる作業ではありません。皆さんエンジンオーバーホールとリビルドの違いを調べた事はあるでしょうか?

僕はある事がきっかけでリビルドとオーバーホールの違いを調べた事がありました。
リビルドとオーバーホールにこれと言った定義付けもなく、結局は「同じ」と言う結果になったのですが、それでも僕はリビルドとオーバー^ホールはいまだに使い分けています。
分かりやすい部品で説明をすると、パワーステアリングポンプは「オーーバーホール」ギヤーボックスもオーバーホールと書きます。
それはなぜかと言うと、僕の中だけの定義なんですが、オーバーホールはハードパーツは測定の結果再使用可能範囲なら再使用をするです。
パワーステアリングポンプを構成している主な部品は、ポンプボディー、シャフト、ベーン、ベーンケース、などめったに摩耗しないハードパーツと、摩耗しやすいシャフトブッシングやオイルシール、Oリングなどから成り立っています。オーバーホールはこれらのハードパーツは交換せず摩耗した部品を交換し修理する事です。

それではポンプをオーバーホールではなくリビルドしたら?
リビルドとはハードパーツも交換する事です。
なんでもかんでも交換すると言った事ではなく、シャフトなら使用範囲と言うのがありまして、新品のシャフトの外形が例えば20mmだとします。

使用範囲は18mmまでだとして、測定した外形が17mmだったら再使用はできませんが、18.5mmなら再使用できる事になります。
18.5mmって再使用できなくなるまでの余裕は0.5mmしかないのです。0.5mmの余裕がどのくらい持つなのか予測はできませんが、そう長くは使えないと思います。そうなるとシャフトは交換、シャフトで回されるポンプ部分の摩耗も気になってきます。使える範囲内だとしてもやはり長年使えるように修理するには交換になります。なのでポンプリビルドに使用した部品は、ケースや付属のハードパーツのみで重要なハードパーツは全て交換をしているので、僕のなかではリビルドになります。

よく言われるのが、エンジンのヘッドガスケットを交換する作業などはエンジンオーバーホールと言わたりしますが正しくはエンジンヘッドガスケットの交換であってオーバーホールではありません。僕の中だけの定義でエンジンオーバーホールを言えば、ポンプのお話の時に書きましたが、再使用可能範囲にある部品は使用し消耗部品であるメインベアリングやロッドベアリング、ピストンリングなどは新品と交換し他のハードパーツも使用可能なら使用して新しいガスケット類を使いエンジンを組み上げる事です。

一番の問題点は「使用可能範囲」になると思います。エンジンブロックからノイズ、打音が発生する原因として多いのは、ロッドベアリングの摩耗とクランクシャフトの摩耗です。打音出ているエンジンのクランクシャフトは見た目も摩耗が激しく見られこりゃダメだ!なんですが、打音ではなく、エンジンオイルの消耗が激しくなるオイル上がりなどは打音も出ていないので、クランクシャフトの摩耗は目では分かりにくく、測定しても多くのクランクシャフトは使用範囲内にあるのです。この使用範囲内と言うのは
STD「スタンダードサイズ」のベアリングを使えるよって事を意味していて、多少摩耗していていたとしてもSTDベアリングを使い組んでも打音は出ませんと言う事なんです。

要は、クランクシャフトとベアリングの隙間を指しています。隙間とは、回転するシャフトはベアリングに包まれています、エンジンオイルとベアリングの隙間にオイルが流れ込み給油しています。この「隙間」が肝心なのです。

クランクシャフトの外径はシャフトを包むベアリングとの隙間に関係していて、500mmnの外径のシャフトを包むベアリングの内径は501mmこの0.1mmの隙間にオイルが流れ込み給油されます。隙間が大きいと打音が出てしまうのです。サービスマニュアルには、新品シャフトの外径サイズ、新品ベアリングの内径サイズ、それに加えベアリング内径とシャフト外形のギャップ「隙間が数字で表記されています。僕たちはこの数字を基にハードパーツを測定し比較し、手を加えず再使用可能か、手を加えないと使用できないかを判断しています。使用不可能な状態になるまで0.3mm余裕があったとします、0.3mm分がどのくらいの期間で摩耗してしまうか誰にもわかりませんよね。1年なのか2年先なのか。エンジンをリビルドしたのですから1年や2年で打音が出たら、たまったもんじゃありませんよね。

保証期限外であっても文句の一つや二つは言いたくなって当たり前です。修理を依頼した側は、なるべくリーズナルブでと願い、作業する側は確実な作業を目指します。オーナーの願いを聞き入れ使用可能範囲内のパーツは交換も手も加えずエンジンを組んだとしましょう。エンジンも調子良く、打音も解消されしばらくはめでたしめでたしなのですが1年足らずで打音が発生してしまったら、保証期限内であればやり直しで済むでしょうが、期限が過ぎていたらどうしようもありません、しかし事はエンジンリビルドであってオーバーホールではないのです新品と同じレベルで組み直す事がリビルドですから、メンテンナスを怠らないのであれば5年や10年は持って欲しいもんです。

ガレージ他社様で行ったエンジンリビルドやリビルド済のエンジンを載せ替えた車両が打音で
入庫してきます。
分解すると内容としては、リビルドではなく、オーバーホールレベルの作業で済まされていた事が分かります。
既に保証期限は過ぎているので仕方なく他の工場さんに持ち込む事になります。
リビルドして直ぐに打音が出るような工場さんに再度お金を払い直してもらいたいなんて思いませんよね。ここは日本ですから、アメリカではこうだよって言うのはどうかと思いますが、エンジンリビルドに関しては日本もアメリカも同じだと思うので少し書いておきますね。
アメリカでのリビルド作業で、主だったハードパーツを使用範囲内だからと言ってそのまま使う事はまずありません。

全ての部品において寸法は新品の寸法が基準になります。クランクシャフトで言えば、シャフトとベアリングの隙間が0.1mとあれば0.1mmなんですよ、0.3mmまでOKだぜとはならないのです。クランクシャフトならアンダーサイズに研磨しベアリングもシャフトに合わせチョイスして隙間を0.1mmにして組み上げるのです。シリンダーブロックもピストンも同じです、ただしシリンダーブロックのシリンダーをボーリングする時はオーバーサイズと良い筒状内径を広げる作業します、それに合わせてピストンもオーバーサイズをチョイスするのです。まぁ、測定する数値は髪の毛一本の太さと同じですから意外と繊細な作業なのです。
エンジンリビルド費用の問い合わせを頂く事が多いのですが、分解せずに数字をだすなら最悪な状態のエンジンをリビルドを想定し100万円以内としか言えないのです。

100は高くないか!?っと思うかもしてませんが、よくある「30万円~」の30万円を提示するより良いと思っています。
一度30と聞いたら頭の中では30がちらつきエンジンリビルドは30くらいか!と思い込んでしまいますよね。30ならリビルドしようと作業をお願いし完成時に70と言われたらどうしますか?

工場さんは30~と言ったので仕方ないですよね。
ガレージではそのような誤解が生じないようにマックスの数字を提示するようにしています。日本に居ながらアメリカ生まれのエンジンをリビルド「新品と同じレベルに再生」するのですからその辺を理解してください。

戸村ガレージの修理

わかりやすく説明します

車に詳しくない方にもわかりやすくご説明します。ですので、お客様もアメ車への理解を深めてくださいね。

多少お時間ください

不調の原因を追究して修理し、海外から部品取り寄せもありますので、多少のお時間の猶予をお願いします。

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