キャブレターのアメ車、急にエンジンが止まる症状と原因

2023年7月5日更新

夏になるとエンジンがいきなり止まってしまう

コンビニに入る時の道路と歩道の段差を超えようとした時とか

信号待ちの時にいきなり、ストン!

発信、停止の時とか。

どれも真夏の暑い時に起こる症状。

慌ててクランキングしてもキュルキュルと空回りするだけで

スタートする気配がない。

クランキングすると、ブルン!とスタートしそうな感じだけど

かからない。

仕方なくロードサービスをお願いして待つこと数時間

ロードサービスの人は取り合えずかかるか試してみると

何事もなかったかのようにエンジンはスタートする。

かかってもまた止まるんじゃないかと心配なので工場さんに

見てもらいますよね。

または、ウインチで積載車に載せて工場さんに到着

降ろす時にはエンジンはスタートしてしまう、これでは原因追及ができない

のです。

メカニックは症状が出た時の状況とエンジンがかかっているのに必要な

部品との関連性を頭の中で考えます。

 

熱くなっている時だから….。

火花系統の部品は大丈夫か?

燃料系統の部品は?

色々と考えて点検を行うのですが、現状なんともないので

追及ができないのです。

仕方なくエンジンが止まった時と同じ状態を作るために

エンジンをかけて置いて様子を見ますが症状がでない。

工場に居ながら実際に止まった時の状態にするのは不可能なことです。

かと言って止まるまで試走を繰り返すわけにもいかず

疑わしい部品を交換して納車するもまた止まってしまう。

次から次へと部品を交換しても解決できず時が過ぎ月日が経つと

気が付かないうちにエンジンは止まらなくなっていた。

やっぱあの部品が悪かったのかな。

これで安心だ!なんて思ってまた夏がきて再び症状が出始める。

真夏に限らず長距離走行で登坂が多い峠とかでも症状が出る場合もあります。

この症状は、パコレーションと言って燃料ラインが熱くなりライン内の

燃料が沸騰して気泡が出来てしまう事により起こります。

燃料ポンプで燃料タンクから吸い出された燃料はパイプを通り燃料ポンプに

向かい燃料フィルターを通りキャブレーターに溜められます。

燃料タンクから燃料ポンプまでは熱の影響は受け難く問題ないのですが

問題はポンプからキャブレーターまでの間です。

ほとんどの車の燃料ラインの取り回しは、ポンプからホースまたはパイプで

キャブレーターに向かい途中に燃料フィルターが付いています。

ポンプからフィルターまではエンジンに触れてしまうほど近くを

這うようにレイアウトされ、フィルターはインテークマニフォールドの

上に位置しています。

ポンプからパイプまたはホースで送られた燃料がここで沸騰してしまうのです

パーコレーションが発生したら簡単なことでは改善できません。

燃料フィルターやラインに耐熱シートを巻いても材質や位置を変えようとも、燃料ラインの取り回しを変えても改善はできません。

パーコレーションが発生するようなら、電磁ポンプに切り替える

必要があります。

オリジナルの燃料ポンプはカムシャフト回転によりアームを上げ下げして

ポンプ内部のダイアフラムを動かし燃料タンクから燃料を吸い上げています。

もっと分かりやすく話すと、石油ストーブに灯油を入れる時のポンプは

知っていますよね。

手でペコペコやって灯油を吸うやつ。

エンジンの燃料ポンプも同じで手でペコペコする部分がダイアフラムで

手がカムシャフトとアームって分けです。

タンクからキャブレーターまで正常な温度であれば、タンクからキャブレーターまでの間には気泡は存在しませんから圧縮されない液体(燃料)は一度ポンプにより吸い出されると小さな力でも燃料をキャブレーターに供給し続けられますが、途中に気泡が発生してしまうと圧縮できる気泡がクションとなりフィルター内に隙間ができて燃料供給の妨げとなってしまうのです。

メカニカルポンプを電磁ポンプに代えると、エンジンの回転に関係なく常に

同じ吐出量を強制的にキャブレーター送り続けてくれので気泡が発生する隙間ができないのです。

じゃ電磁ポンプに代えようと、なるべく簡単に付けられる場所を探し電気配線の事や固定する事を考えるとエンジンルームになってしまうと思います。

インレット(吸い込む側)アウトレット(吐出側)共に大きければ

エンジンルーム内で熱の影響を受けない場所なら良いでしょうが、

熱の影響を受けない場所なんてエンジンルーム内にはないですよね

電磁燃料ポンプをつけられる場所の条件と言うものがあります。

キャブレーターより下側

燃料タンク付近

上記が最低条件になります。

なぜかと言うと、灯油ストーブに灯油を入れる時に灯油のポリタンクを

給油したいストーブより上に置いておくと数回ポンプをペコペコすれば

かってに灯油が流れてくれますよね。

それと同じような事で、ポンプから吸い出された燃料は燃料タンク内の燃料の重さが加わり小さいポンプの力でもキャブレーターまで燃料を送ってくれるのです。

ポンプが燃料タンクから遠くなれば吸い出す力も大きな力が必要なり、

タンクの底面から上だとポンプが吸い出す量が燃料タンク内の燃料の残量に左右されてしまうのです。

面倒で大変かもしれませんが、電磁ポンプはタンク付近に付けましょう。

電気配線は、IGNコイルとかIGN/ONで流れる配線から分岐せず、リレーを使いポンプ用の配線を新設しましょう。