アメ車修理エンジンリビルド手順(1)

2023年5月13日更新

できる事なら 「このアメ車」長く乗り続けたい

と思う気持ちは皆同じだと思います。

長く乗っているとどうしても通らねばならない試練がやってきます

小さな修理ならともかく、エンジンやミッションとなると

正直悩んでしまいますよね。

工場さんにより見積もいろいろだし、正直どこまで

手を入れてくれるのか、何を交換してどんな作業をして

くれのか心配にるところです。

そこで、今回は何回かに分けてエンジンリビルドの流れを分かりやすく書いて行こうと思っています。

 

エンジンリビルド作業に興味がある方は、インスタグラムに作業をアップして

いるのでご覧ください。

 

エンジンリビルドをしなくてはいけない状態とは

どんなものなのか、いくつか挙げていきましょう。

 

1):エンジンからの異音

異音と言っても色々な音があります、鉄や鋳物、またはアルミダイギャスト

から成り立っているエンジンですから少なからず音は聞こえてきて

当然な事ですが、コンディションが良いエンジンと言うのは不思議な事に

ものすごく静かなんです。

回転する部分は、ベアリングで保持され部品どうしがぶつかり合う箇所は

油圧で緩和されるからです。

エンジンからの異音は大きく分けて2種類あります

私たちがまずする事は、異音がどこからしてるのか調べる事から始めます。

エンジンシシリンダーブロックからなのか、シリンダーヘッドなのか

エンジンシリンダーブロックの中には、オイルポンプ、クランクシャフト、ピストン、ピストンとクランクシャフトを繋ぐコネクティングロッド、カムシャフト、バルブリフター、タミングチェーンなどが納められています。

 

シリンダーヘッドには、インテークバルブ、エキゾストバルブ、バルブスプリングエキゾストバルブとインテークバルブを押す、ロッカーアーム、ロッカーアーム、カムシャフトとロッカーアームを繋いでいるプッシュロッドがあります。

 

上記に挙げた部品全てから異音が発生する可能性があり異音の質感とリズムを基に

エンジンシリンダーブロックからの異音か、シリンダーヘッドからの異音なのかを

探ります。

 

異音はエンジン回転数に同調する事が多いので、シリンダーブロック内なら、異音の間隔がアイドリング時なら、1秒間に2回から4回程度で間隔があります。

ヘッドなら、倍の速さでけたたましく聞こえてきます。

シリンダーブロックからの音質は籠ったような音に聞こえ、車内にいる時の方が聞き取りやすくなります。

一方バルブ系統(シリンダーヘッド内)は軽い音質がし車外の方が聞き取りやすくなる傾向にあります。

 

さて異音はどこからなのか、耳をすませて異音を「みましょう」

見ると言うのは、どういう事なのか?

皆さん、物音がする音が聞こえてきた方向をみますよね

エンジンノイズもそれと同じ事なのです、音を注意深く聞きながら音がする方に

顔を近づけていく、この時、私たちは頭の中でエンジン内部の動きを描きながら音を探ようにしています。

 

V8エンジンなら、右バンクからなのか左からなのか….。

どちらかと聞かれたら右側から、それではその異音は比較的早い間隔で軽い

音なのか、それとも籠るような音で間隔が長いのか。

籠るような音で間隔が長いような気がしたら、その異音はシリンダーブロックからとなります。

シリンダーブロックからの異音だとしたら、リビルドでどんな作業と部品が必要になるのでしょうか。

籠るような間隔がある音を出すのは、クランクシャフトのコネクティングロッド

ジャーナルと言う部分の摩耗による物とベアリングの摩耗によるものです。

ベアリングだけが摩耗する事はまずあり得ないので、この場合なら、クランクシャフト、コネクティングングベアリングが必要になります。

他に必ず交換しないといけない部品は多々ありますがここでは省きます。

それではまず、クランクシャフトをどうにかしなければいけませんよね。

リビルド作業で、ストックの部品が再使用可能か点検測定をしますが、クランクシャフトに関してはストックのまま再使用はできないのです、してはいけないのです。

例えば、新品クランクシャトのコネクティングロッドが着く部分の直径が、50mmだとしましょう、サービスマニュアルには、49mm~48mmまでなら再使用可能と書いてあったとします。

 

※:数値は分かりやすくしたいので実際の数値ではありません。

 

測定の結果、48.5mmだから再使用できると思い再使用してしまうビルダーが多い日本ですが、アメリカではそのようなビルドはしてしません。

しているとしたら、輸出用にビルドする中古車くらいです。

 

新品での50㎜がグッドゴディンションで組み立てられ販売されているのです。

何十万キロ、何十年と稼働してきたエンジンのクランクシャフトが今ここにきて、1.5㎜摩耗したのです、あと0.5㎜も余裕があると思ってしまい再使用してしまうのです。

あと0.5㎜摩耗したら再使用不可のクランクシャフトになります。

何十年と稼働し1.5㎜の摩耗、それでは再使用不可能になる、0.5㎜まで何年間、稼働できるのでしょうか。

 

高価なリビルド代金を払い数年でダメになるのは目に見えていますよね。

なので測定値が再使用範囲ないでもスイックのままの再使用はしないのです。

再使用しないなら、どうするのか。

クランクシャフトをアッセンブリで交換するか、アンダーサイズに研磨し、使用するか2つに1なのです。

車両の年式が古くなればなる程、STDサイズ(オリジナルサイズ)のクランクシャフトの供給は少なくってきます。

販売されているシャフトのアンダー(0.010)とか(0.020)で補う他はありません。

エンジン部品のサイズ表記は、アンダーとオーバーがあります。

アンダーは研磨し部品の直径がSTDより小さくなった部品、(クランクシャフトなど)

オーバーは研磨し部品の直径がSTDより大きくなった部品(シリンダーブロックなど)

 

文章だけなので、あまり長いとあきてしまいそうなので

1回目は、ここまでにしましょう。

 

次回は、「クランクシャフトを研磨して再使用する」からです。

アメリカでリビルドされたエンジンの実態や国内で販売されいる色々な

アッセンブリ部品の実態も書いていきたいと思っています。