修理事例・対応事例

愛車診断 対応事例

シボレー シェビーバン

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愛車診断
車種シボレー シェビーバン
依頼内容オークションで購入し、悪い箇所は全て修理したが、購入から1年以上過ぎているので状態を知りたく、診断をお願いしたい。

愛車診断を行った動機は…

さてさて今月は「懲りないアメ車乗り」って題名を付けたくなってしまうようなオーナーさんの登場です。

昔から外車好きで、ベンツ、オペル、ベンツ208、そしてこのシェビーバン98年式と乗り継いできたと言う。
ヨーロッパ系の車が好みだったオーナーのどこがどうなってアメ車好きになってしまったのかは定かではありませんが、診断を進めていく中で、本当にアメ車が好きなんだなぁ~と思いました。
ベンツ280とこのシェビーは、某オークションで購入したそうですよ。良くないと言われているオークションの実態を知るためにまず、チープな国産を購入。

結果から申しますと、期待を裏切らずボロボロでした。買ってしまった物は仕方ない、ボロボロをホロホロくらいまでに仕上げ乗っていた所に、アメ車好きの虫が騒いだのか、なんとなーくWebを見ているとこのシェビーが出品されていたんですよ。‘89で走行が、70309マイル。気が付いたらオートビットしてました、笑。
少しの差で落札は出来ず諦めていた所に、価格もお手頃になって再登場!即買いしたそうです。
引取りは国産に乗って行きシェビーと交換してきたそうです。
アメリカ的、取り引きをした帰りにそのままいつもお世話になっている工場に直行し悪い個所はすべて修理したと言う。
購入時からかれこれ1年以上は過ぎているので、どんなもんかいな?と思い愛車診断を受ける気になったと話してくれた。

いい味出してるんですよね、自然のヤレ加減が。
分からない人はこう思うだろう、「ボロボロのどこが良いわけ?塗装が剥げていてどこがカッコ良いんだよ」ってね。
確かにボロボロよりはピカピカの方が良いに決まっている、しかしそうでない場合もあるんです。車のフォルムにもよるんだろうが、丸っこい形の車やこじんまりした車種などにボロボロは似合わない。
似合うのはカクカクしていてデカクて1990年くらいのまでの車種だろう。
ガツンとへこんでいるのは恥ずかしいけど、少々のエクボや引っかき傷ならタチアップペンで錆がでないように塗っておけばいんじゃんみたいな。

 

さっそく点検開始!

さて雑談はこのへんにしておき、点検しましょう。

毎月読んで頂いている読者さんは見飽きた事だろうと思いますが、もしかしたら、今日始めてA、CARSの読者になってくれた方もいるかも知れないでしょ、お付き合いください。

手を入れてきた事だけの事はありますね、ハブベアリングにガタ無し。
パンクしちゃったので適当に購入して付け替えたタイヤ付きホーイルを外してブレーキ系統とアクスル系統に進んでいく。
ブレーキローターの面が虫に食われたようにボツボツしている(C)アッパーコントロールアームブッシュは交換済み。
ロアーブッシュ、ピボットシャフトも交換済み。

診断続けますか?オーナーさん?「そんな事、言わないで続けてくださいよ」だって悪い個所無そうなんですもん。

コントロールアームボールジョイントは上下とも交換済み。
ジョイントブーツや色、形から見ても純正ではない物の、ACデルコ品が使われている、宣伝ではありませんが安ければ良いってもんじゃないんです、その説明はキャプで。
やっと(B)ランクの個所がありました、ショックアブソーバーブッシュが磨耗ショックがアームと擦れています。
アンチスエバーブッシュも持ちすぎでしょ。硬化してますね(B)。
ステアリングリンケージも全部交換済み。「ちっ!」。

エンジン下周りは何か出てきそうですよ。と思いきや出てきたのは、エンジンクランクシャフトリヤーシールからのエンジンオイル漏れ(B)。くらいなもんでした。

ATのシフトリンケージピボットがあと少しで割れそう(B)。
リヤーヒーターホースを固定するバンドが切れてホースが車体下で、びろ~ん(B)こんな状態だと道路と擦れて水漏れ起こしますから後で止めておきますね。

前周りの点検を終了し後ろ側に移りましょう。

しかし、いい“やれ”具合と言うか味でてますよね。
室内はどうかな?助手席側ドアーを空けたら、注意書きが目に飛び込んできた。
その注意書きはキャプで紹介しますが、こんな事でも許せちゃうのがアメ車なんですよね。
リヤーブレーキ系統に問題なし。

エキゾウストマフラーに小さな穴が空いている(B)しかしよくここまで手をいれましたね、大したもんです。
リヤーアクスルのリーフブッシュは多分年数からして硬化していと思われるが、ひびわれもなく見た目は良い状態を保っています。

デフケースとホーシングの繋ぎ目からデフオイルがにじみ出しています(B)この程度なら問題にする事はないでしょう。
コンピュター診断では特にトラブルはなくクラスターメーター上の水温やチャージングの値にも狂いはないようです。

エンジンルーム内点検も、問題なし。
この車がマジで89なんですか!。愛車診断始めて依頼じゃないかな、ここまで程度が良いのは。

  • もう見あきちゃったよね、一発目は必ずこの写真だもんね。みんなはいつ頃グリスアップしましたか?焼きつくとタイヤがすっ飛んじゃうぞ。
  • フロントブレーキローターは長持ちしすぎって感じかな。小さなへこみが帯状に付いてます、ヤスリみたいなもんですから早めに交換しましょう。
  • フロントアッパーアーム、ロアーアームブッシュはゴムブッツ使用で交換済み。ウレタンより柔らかいけど持ちはゴムの方がいいだろう。
  • ボールジョイントなどハードなパーツは、価格で決めずにメーカー品質を重視しよう。安い物を使用すると長持ちしませんよ。
  • この光具合からして最近交換した事が見て分かる。グリスアップもきちんと行われていて良いメンテしていますね。このまま維持してくださいね。
  • おっと、ショックアブソバーブッシュがつぶれてアームと擦れあってますね。ショックオイルもうっすらとにじんでるので交換しちゃいましょう。
  • あっても無くてもどうってこと無いように思えるアンチスエバーブッシュですが、こんな物でも交換すれば乗り心地は数段良くなるのです。
  • さびてはいる物のタイロッドエンドは左右共に交換されている。シャーシブラックでさび防止してやるといいですね。あとグリスアップもね。
  • ステアリングリンケージを支えるアイドラアームも新品ですね。グリスアップを忘れているようなのでグリス入れてあげてくださいね。
  • この色合いから何か出てきそうな雰囲気ですが、何も出てこないんですね、「ちっ」しかしオイルにじみ一つ無いとは、驚きです。
  • 診断前に、スチーム洗浄してきたんですか?と聞きたくなるようなきれいさだ。いつもの調子でいけばオイルでドロドロってのが当たり前なんだが。
  • ラジエーターロアーホースをつまんで硬化していないか確認をする。弾力もあり内部にさびが溜まっている様子もなかった。
  • エンジンマウントの状態から交換していないようだがつぶれもなくプライバーでこじってみてもまだまだ弾力は残っているようだ。
  • う~ん、惜しいな、このオイルもれは。エンジンクランクシャフトリヤーシールからのもれですな。いきなりドバーってもれ出し事はないので安心してください。
  • オートマのシフトノブに違和感ありませんか?リンクロッドブッシュがたいぶ磨耗しているみたいですね、早めに交換してください。
  • エンジンメンバーにそって付いているブレーキパイプなどは通常の点検ではまず見ないだろう。止めバンド部分にさびが出ているので早めに処置をしてください。
  • この車で地面に一番近いのがこれ、リヤーヒーターホース。これじゃまずいのでちゃんと止め直しましょう。
  • ドライブシャフトセンターサポートも交換済み。しかしよくここまでリペアーしましたね、テレスコ部分にはたまにグリスを充填してくださいね。
  • こんな注意書きも許せちゃうのがアメ車の良い所ですね。確かに乗らなければ今以上壊れる事もないもんね。
  • リヤーブレーキシリンダーは社外製品だがアッセンブリ交換されている。それでも一応はブーツの中を拝見。漏れはありませんね。
  • ブレーキシューはACデルコ製品を使用しているようだ、アフターマーケット品は安くていいのだが少々硬いのでお勧めではない。
  • ドラムの内側は一度研磨されているようだ、元々肉厚があるドラムなので研磨する深さが浅ければ研磨も問題ないだろう。
  • リヤーブレーキもフロントと同じく新品交換されていた。見た目ではなく使用年数等で交換サイクルを決めると良いだろう。
  • 燃料フィルターもエンジンオイルフィルターやエアーフィルターと同じようにまめに交換するのが当たり前なんですが、読者の皆はいつ交換しましたか。
  • ブレーキパイプと同じで年数が経てば燃料パイプもさびてきます。少しさびがあるようなので早めに処置してください。
  • こんな穴は気にしなくていいと思いますが、放っておけば少しずつ穴が広がりしまいには、落ちますから早めに補修しましょう。
  • リヤーリーフブッシュの状態は、良いほうだと思います。硬くなってもいないしひび割れない。数年後に交換って感じですかね。
  • デフケースとホーシングの継ぎ目からギヤーオイルが、にじみ出してきてますね。まぁこの程度なら問題にする度合いじゃないでしょう。
  • エンジンルーム内の点検はまめに自分の手で行っているという。エンジンオイルに限らずATFも自分の手で交換したと言うオーナー。
  • ブレーキオイルのきれいさに驚かされるメカニック、ほとんどの車は真っ黒かドロドロ、又は量が不足していると言うのに。
  • エンジンに付いている、冷却水温センサーやオイルプレッシャーなどの値とメーター上の値に誤差がないか確認する、大きな誤差もなくよい状態です。
  • エンジンをスタートさせ補機類から異音が出ていないか点検をする。重要な補機類は交換済みになっていてとても静かなエンジでした。

車って乗り物は、自分にとってどんな存在か。
日常の足だけって人もいるだろうし、愛娘のように思っている人もいると思う。
手を入れてやれば必ずそれに答えてくれのです。
今回のシェビーバンはその事を教えてくれた一台だった。

ほぼ新車同様。