383ストローカーリビルド(4)アメ車修理

2025年12月19日更新

まずは下記を読んでからご覧ください。

自分が組んでいる383は「静かなストリート仕様」

ここで補足しておきます。

今回取り上げている383ストローカーは、
自分が実際にリビルドしているエンジン ですが、
用途はあくまで 静粛性を重視したストリート仕様 です。

日本のストリートカーとして使う以上、
冷間時を含めて
不要な打音が出ない状態 を前提に組んでいます。

そのため、
今回のリビルドでは、

  • クリアランス設定

  • 測定精度

  • 加工状態の確認

これらを重視し、
「音が出ても仕方ない」という前提では
一切進めていません。

383だから音が出るのではなく、
音が出ない383を成立させるために、
何を確認し、何を測定するのか

それを整理するためのシリーズです。

ここから本文になります。

投稿が不定期になってしまい、申し訳ありません。

(3)では、リビルドが決まり、
異音の発生源についてある程度の予想が付いている段階では、
どんどん分解してはいけないという話をしました。

分解を進める際は、
目視点検を行いながら測定を行い、
異常な箇所を一つずつ探していきます。

普通のアメ車エンジンで、
異音の発生源となる箇所の代表例は、

  • バルブリフター不良

  • クランクシャフトのジャーナル摩耗

この二つが主な原因になることが多いです。

しかし、診断を難しくする厄介な異音として
ピストン打音があります。

ピストン打音は、音質や発生条件によっては
ベアリング摩耗音と混同されることがあります。

ただし、実際には原因も
発生メカニズムも異なります。

ピストン打音は、ピストンとシリンダーの
設計クリアランス内で発生する
「側圧の反転」による音です。

コンロッドは、クランクシャフトの回転により
円弧を描く動きをしながら上下しますが、
ピストン自体はシリンダー内を
垂直にしか動くことができません。

このため、ピストンには常に
横方向の力(側圧)が発生します。

ピストンが上昇する際はエキゾースト側へ、
下降する際はインテーク側へと、
シリンダー内で当たる面が切り替わります。

この側圧が反転するタイミングで、
ピストンがシリンダー壁に当たり替わることで、
乾いた打音が発生します。

特にストロークの長いエンジンでは、
ロッド角度が大きくなりやすく、
この側圧が強くなるため、
ピストン打音が出やすい傾向があります。

次回は、

「なぜ冷間時に出やすいのか」
「測定しないと判断できない理由」について書いていきます。