アメ車修理 アライメント、ハンドル取られ
2022年3月28日更新
問い合わせは大歓迎
どこに出しても直らない不具合の修理大好き
私は少し変人なのでしょうか…。
アメ車に限らず、壊れた原因を追究し直ったら
それはそれは快感、感動、人生最高の瞬間と
毎回思うわけですよ。
機械は素直で正直ですからね
いつも「直らない故障なんてありませんから」
と言っていたし直せない故障もありませんでしたが
先日初めて経験してしまいました。
バン車なんですが、とある修理を行った後にステアリング
が持っていかれる症状が出て作業をしてくれた工場さんは
そこを分解しても狂うのはキャンバーだけでキャスターまでは
狂わないから当工場のせいではないと….。
愛車診断で点検を行うと
フロントアッパーコントロールアーム
シャフトボルトのネジ山が途中で欠落しているじゃ
ないですか。
触られてない右側と比べてもアームの位置が著しく違い
これでは真っすぐ走らないしステアリングも取られてしまい
ますよね。
フレームから出ている2本のボルトにアームシャフトが
着くのですが、フレームとシャフト間にシムを入れる
事によりキャンバー角とキャスター角を調整する事ができます。
フレームとシャフトの間に入れるシム
2本とも同じ分だけ挟めばキャンバーが調整できて
前側と後側のシムの厚みに変化を持たせればキャスター角
が変化するようになっているんです。
アライメント調整をできるようにボルトはかり長く
頑丈でなければいけません。
そのためボルトは太いリベットタイプでフレームの
一部となっています。
パッセンジャーカーならスプラインで圧入なので部品として
売っているのですが、さすがにフレームにリベット止めと
なると供給はしていません、欲しいならフレームを買ってください
なんて感じです。
ボルトとシャフトの位置関係は
右側のアームの取り付け位置と左側はほぼ同じ
位置になります。
同じ位置にシャフトがきてナットを締めると丁度
欠落させてしまったネジ山のところにくるんです。
なんとか直せないものかと色々調べてみましたが
ボルトの供給がない
フレームにリベット止め
車重を支えているばかりではなく、上下に
バウンドするんですよ
走りだせばタイヤは外側へ引っ張られる力が加わります
なぜボルトのねじ山が欠落したのか?
予想ですが、いきなりアッパーアームシャフトロック
ナットを緩めた様子が伺えるんです。
コイルスプリングも外さず、スピンドルも外さず
ナットを緩めればアームシャフトは下方に強い力で
引っ張られているのでシャフトの取り付け穴がボルト
のネジ山に押しつけられ擦れるのでネジ山を壊して
しまったのでしょう。
修理方法を模索しましたが、純正のボルトを
リベット止めする以外に安全性を保障する事が
できないので直せなかった初めての事例が
できてしまいました。
同じ強度を持ち同等のボルトはいくらでもあります
そのボルトを溶接すればと考えましたが、ボルトに
掛かる振動や負荷を考えると溶接は不向きです。
純正のボルトがあったとしてもリベット止めができません。
それならら、欠落したネジ山を避けるためにシムを噛ませ
ナットの位置をずらせば….。
有力な案だったのですが、ネジ山が欠落するほど無理な
力を掛けられたボルトの強度が信頼できないのです。
経年劣化で疲労破断するボルトもありますから
順序立てて外されてないのでナットは相当な力で
回され摩擦でボルトもかなりネジれ熱くなった事
でしょう。
なんとか直したかったのですが、命には代えられません。
修理する人たちは自動車は地面を走ってるし
飛行機みたに飛ぶわけじゃないからって軽く見てる
所があるんじゃないかと思うんです。