アメ車のキャブレーターと工具
2019年10月11日更新
修理屋になって何年経ったでしょうかね…。
電卓ポチポチ叩いて。。。え~っ!!
41年ですよ41年!
私の修理屋のルーツはタクシーの修理屋さんから
でした。
職場を転々としてひどい時には半日で
辞めてきた工場もありました。
アメ車を修理しだしのは22歳の頃で
東京の横田基地内にある修理工場、BXガレージと
言う工場でした。
今でも覚えていますがマスタングでした。
エンジンノースタートで入庫したマスタング
が私の担当になったのです。
オーダーシートを手にして置き場をグルグル周り
マスタングを見つけました。
取りあえずエンジンクランキングしてみるも
スタートせず。
スタートしないから入庫したんだもんなスタート
する分けないか。
なんかガソリン臭いから燃料はきているようだな..。
それでもう一度クランキング
はぁ~仕方ない仲間に押してもらって作業場に
入れるか。
作業場に入れエンジンフードを開けて
ビックリ、なんとキャブレーターが無い!
エンジンはガソリンでびちゃびちゃ
燃えなくてよかったよぉ~。
フロントにキャブレーター付いてないんで
スタートする分けないって伝えると
「トランクにキャブレーター入ってるらしいよ」
なんだ早く言ってよ
トランクを開けると大きなミカン箱がドン!
覗くとな、なんとバラバラに分解されたキャブ
何でばらばら?
またまたフロントに伝えると
「オーナーが分解したらしいが部品は何一つ無くしてないから
組んでくれだって」
マジですか!
始めてのアメ車なのにまして分解されたキャブを
組めなんて絶対に無理っす。
そうフロントに言うと
「じゃマニュアルがないかオーナーに聞いてみるから」
翌日オーナーが持ってきてくれたマニュアル片手に
作業をはじめました。
当時は英語まじわからないんで載っている絵を
頼りに組み立て始めると、ほらやっぱないじゃん
小さな部品が何個も無いし、ガスケットだって
ビリビリ。
さてどうしたものか。
請負のような給料態勢だったので必要な中古部品は
自分で探さないといけないのです。
昔はあったんですよ、車が何台も重なって部品
取りとして置いてある解体屋さんが。
当時外車を扱っている解体屋さんは少なく
東京多摩方面では数件しかありません。
福生、牛浜、瑞穂、あきる野だったかな。
当時は携帯電話なんてありませんから
工具を持って解体屋さん巡りをしてキャブ
を探すのですが、マスタングなんてそう
あるもんじゃないのです。
4件周りましたがマスタングの「マ」もないんです
アメ車があってもトランザムとかリンカーンそういった
車しかありませんでした。
今でこそ、別にマスタングじゃなくても
キャブレーターの小さい部品があれば
いいんだからキャブレーターメーカーが同じ
ならほとんど中身は同じだろ!って分かるのですが
初めてのアメ車なのでそこまで余裕ではいられません。
マスタングと言えばフォードでトランザムは
ポンティアック。リンカーンもフォード系ですが
正しくはリンカーンだしもう泣きたくなりました。
仕方なくフロントを通してオーナーに事情を伝えて
もらうと…。
「俺が分解して部品は全部箱に入れたんだ
ないわけない!」
「メカニックが無くしたんだろ!」
って逆切れされてしまったのです。
俺は無くしてないし。。。
マスタングは放置して他の修理をしている所に
工場長がきて。
「なに部品無いんだって?」
ええ、俺が無くしたって言われてて
解体屋さんにもキャブなかったし参ってます。
解体屋にはどんな車があったんだ。
置いてあったアメ車を話すと
「トランザムのキャブ買ってきなよ」
え!使えるんですか。
「キャブそっくりじゃないんだろ?」
ええ、チェックボールと加速ポンプのスプリング
です。
「じゃ使えるから明日買ってくるといいよ」
工場長が天使に見えましたよ。
翌日朝から解体屋に寄ってエンジンからキャブレーターを
外しに行ったのですが、情けない事に工具が足りないんです。
インチ工具を持ってなかったんです。
横田基地の人たちは数年で他の基地に移動に
なるので高級な車は乗らず10~15年おちの
日本車を乗るんです。
横田基地では芝刈り機と国産車ばかり修理していたので
インチ工具なんて必要なかったんです。
キャッブレーターを固定しているナットは1/2
13mmじゃ大きいし12mmじゃ入らない。
かろうじて角に引っ掛かる13mmスパナを
使ったらまんまと舐めてしまいどうにも行かなく
なるし。
仕方なく12mmスパナを削ってその場をしのぎ
なんとか持ち帰りました。
さて!キャブを分解して部品を…。
まずはこのボルトを外してってと。。。
今までに見た事もない小さなボルトの頭サイズ
8mmでもない6mmでもない5mmと4mmの間
おまけに奥まっているんでディープソケットじゃ
ないとボルト頭まで届かない。
サイズも確認できまないまま仕方なく
工具を買いにいきましたがインチ工具
なんて当時は特別扱いで超高いし種類も
多くはなかったんです。
でも素人のオーナーが分解できたのだから
俺にだってできるでしょ!
工場長に相談したら軍支給の工具を借りてきて
くれのですよ。
ハードボックスにズラッと並べてられたソケット
なんと、スナップオンでした。
当時スナップオンはまだ日本で知られていない存在
でした。
これと思うソケットを選びマッチしたサイズは
3/16。
嬉しかったなぁ~あの時は。
まぁそんなこんなでキャブを分解できて
部品取り。
おお!同じだよ流石は工場長です。
サービスマニュアル片手にキャブの組み立て
なんとか形になったじゃないかと思いきや
ガスケットが使えずここでまた足踏みです。
ガスケットどうすようかね。。。
悩んでいたら同じ職場の先輩が声を
掛けてくれていい事を教えてもらったんです。
「良い事」はまた後日。